オリンピックが近付くと、いつも「オリンピックには魔物が棲む」という言葉がクローズアップされます。

家庭画報で結弦くんは
「自分が飼っている魔物が五輪というタイトルだけで暴れだす…」
なーんて、厨二病丸出しのことを言ってましたよね?(笑)

もう、そんな言葉を聞いたら
「はいはい、わかったからね。靴下は脱ぎっぱなしにしないのよ」
ってな感じのオカン目線になって、ちょっと笑ってしまいますよね?

なんというか、まっちーの
「僕の裸体に火の鳥の精神を絡みつけて具現化した」
を彷彿とさせる言葉に「ニヤリ」が止まりません(笑)


で、その「魔物」ってなんだろうと、ここ数日考えていました。



絶対に優勝だと思った選手が失速して負けるとか、今までミスしたことがないのにミスをするとか、そういうのが「魔物」なんでしょうか。

前者はリレハンメルの原田さんでありソチの高梨沙羅ちゃん、後者は3Fでお手付きをした結弦くんでしょうか。


それ以外にも、絶対的有利と思われていた選手が負けてしまうということは枚挙にいとまがありません。


結弦くんは魔物を飼っていると表現し、伊藤美誠ちゃんは「魔物は味方につければいい」と言っています。

じゃあ、その「魔物」って何よ、ってことなんですよね?


味方につければいいというのは何となくわかりますが、じゃあどうすれば味方につけられるのかというのが判らないから、皆さんその「味方につけたは ずの魔物に裏切られる」んじゃないのかな?と思ったのです。



まあ、簡単に言っちゃうと、魔物というのは「緊張」ですよね?
それも、いつもと違う異質な緊張というやつです。

それを生むのは、きっと人間の様々な「欲」なのだと思います。


オリンピックに出てくる選手たちの多くは、百戦錬磨のつわもの達です。

自分がどういうときに緊張してどうすればリラックスするのか、十分に理解してオリンピックに臨んでいるはずです。

しかしオリンピックでは、そんな自分の経験値では想定できないイレギュラーなことが起こるのです。

そんなはずはないということが起こるから選手は呆然とし、それを「魔物」のせいにするのです。



結弦くんはソチでは「いつもと同じ試合なんだ」と思い込もうとしていたといいます。


いつもの試合と同じ、3日前に会場に入って同じルーティンで練習をする。

これは特別な試合ではない、いつもと同じ試合なんだと、そう思っていたわけです。



でも、そう思い込もうとしなければいけなかったところが、すでにいつもと違っていたわけです。


体や頭に「いつもと同じ」と思い込ませても、深層心理で「この試合は特別」と思っているのですから「いつものようにやろう」と考えること自体が 「いつもと違うこと」だったんです。


ソチの時、結弦くんは「楽しもう」と口にしていました。

それも、裏返すと緊張して楽しめていない自分を感じていたからでしょうし、そんなことに気付かないくらいに緊張していたのかもしれません。


ここ一番というときにいつもと同じ演技をすることはほぼ不可能なのでしょう。

じゃあどうすれば、緊張している中でもベストなパフォーマンスができるのか。


結局全てのスケーターが求めるのはそこでしょう。

でも、そこの答えは誰にもわかりません。
その選手個人個人で、方法論が全く違うからです。




リラックスをするのがいいのか?

平常心を身につけ、どんな時も動揺しないよう、まっちーのように瞑想を取り入れればいいのでしょうか。


内なる獣を呼び覚ませばいいのか?

清水宏保氏のように、自分を極限まで追い込んでゾーンに突入すればいいのでしょうか。



どんなことをやっていても、会場に入った瞬間に雰囲気に飲まれてしまったら意味はないので、これが正解という方法はないのでしょう。



ただ、「自分はミスをしない」と強く信じることができれば、たとえ緊張してもそれを乗り越えることができるかもしれません。

エテリチームがやっている、実際のエレメンツよりはるかに難しいエレメンツを日常的に練習しておくという方法がそれでしょう。

3Lz-3Lo-3Lo-3Loが跳べるなら3Lz-3Loで失敗するはずがないのです。


でも、この方法は結弦くんのように、常に限界マックスのプログラムを組まないと燃えない人にはできません。

結弦くんの性格では、簡単な構成ではつまらないのです。
これ以上ないくらいギリギリの構成を組んでいる結弦くんに、それよりはるかに難しい練習プログラムはないのです。


だとしたら、今の限界ギリギリプログラムの成功率を上げていくしかないでしょう。





オリンピックには普段の試合とは全く違う緊張があるというのは事実でしょう。

選手は、それを肌で感じ、さらに緊張するのだと思います。



いつもよりはるかに多いメディア。

通常の試合では見たことのない記者たち。

そして、見知らぬ外国の記者たちから向けられるマイク。

いつもは笑顔で接してくれる海外の選手は笑顔を見せなくなり、その選手のコーチたちはピリピリしています。

誰もフレンドリーにハグを求めてきたりしません。

オリンピックは、どの国の選手たちにとっても人生を賭けた戦いなのです。


これに勝てば人生が変わるのです。

フィギュアで生きていくために、自分の国を捨てている選手だっています。
ここで顔を売ろうと考えているコーチだっています。

みんなピリピリしていて当たり前なのです。



「いつも通りにやろう」なんて思っても、いつもと違うのはすぐにわかるのです。

なので平常心でいようとするには外部の喧噪から自分を遮断する必要があるでしょう。

オリンピックの異様な空気を感じる前に、試合に入ってしまうのが1番いいのです。


今回、結弦くんは練習が思うようにできていないというマイナス要因があります。

なので、自分自身に集中するためにも、団体戦は避けたほうがいいというのがオーサーの判断なのかもしれません。



あとは、リンクでどれだけ集中するかにかかっています。





というか、どれほど不安になっていても、どれほど興奮状態になっていても、スコーンと集中モードに入れる方法を見つけられればいいんですよね?

私は、眠れない時や集中したい時は呼吸に合わせて数をかぞえます。

数をかぞえると何も考えなくなるため眠りにつけるからですが、余計なことを考えてしまわないように数をかぞえるというのは多少は日常生活にも役に立つと思います。

遅刻しそうな時(笑)道を歩きながら数をかぞえると焦らずに済みます。

私は色々なことを考えてしまう人間なので、焦るとそれだけで自分が不安になったりするので、まず自分を落ち着かせる必要があるのです。

結局、それが荒川さんの言う
「最初に考えることを決めておいて、他のことを考えない」
ということに通じるのだと思います。



オリンピックは、焦った人間が負けるのです。
どの競技でも、嫌がらせや妨害などあって当たり前のサバイバルなのがオリンピックです。

城田さんの本で、メディアに毎日マイクを向けられているうちに、伊藤みどりさんがどんどん調子を落としていったと書いてありました。

「ジャンプの調子はどうですか?」
というような、同じ質問を毎日されているうちに、自分の調子に自信が持てなくなってきて、徐々に落ち込んでくるというイメージでしょうか。

毎日頑張っているのに「頑張ってください」と言われると、選手の中には「自分はまだ頑張りが足りないのかな?」と思ってしまう人もいるようです。

鬱の人に「頑張れ」は言っちゃいけないのと同じように、緊張してナーバスになっている人間には激励がプレッシャーになることもあるのです。


「楽しんできます」
というのはメダルの期待をされていない選手が言うセリフです。

メダルの期待をされていない選手がのびのびといい演技をするのはフィギュアだって同じです。

GPSでは、一枠しかもらえていないダークホース的な選手が表彰台に乗ることが結構あります。
「のびのびと楽しく滑ろう」という感情だけで滑れる選手には、何のプレッシャーもないからです。


緊張するのは「欲」があるからです。

結弦くんには「連覇」という欲があります。

他の選手にも、家族の生活とか、名声とか、今結弦くんが手に入れている人気が欲しいとか、様々な「欲」があります。

「期待に応えなければいけない」というプレッシャーも、ある意味の「欲」です。


それを「無」にするのは不可能です。




ならば、出来るだけそれを考えないことです。

今行うべきエレメントの一つ一つに集中することです。



観客に意識を向けるよりエッジに意識を!

ショートは80%のエネルギーで。

フリーはMAXで。



そして、全てが終わった時、厨二病ならばこう言って欲しいものです。


「俺が魔物だ!俺こそが魔物だ!」
と!




きっとチョー恥ずかしいと思います(笑)


以上








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